着ぐるみのときの立ち居振る舞い  

 一生懸命作った、あるいはお金を貯めて買った着ぐるみ面や衣装。
 遂にそれを着た瞬間(キャラになりきった瞬間)の気持ちは忘れられないですよね。私も初めて着た瞬間を振り返ってみても、それはもう頭の中が真っ白になって×△○□!!!な状態に。
 (^^;)
 で、自分自身はそれで大満足、ハッピーなんですが・・・・
 周囲はと言うと必ずしもそうとは限らないものです。特に買ってきた面の場合などはね。
 考えてもみてください。周囲が反応しても、それはあなた自身への反応じゃないんです。○○工房作の面に対してなんです。ただ面をかぶっただけの写真をネットに上げたり友人に見せてもそれは○○工房の面をコマーシャルしているだけなのです。周囲が綺麗だ、羨ましいと言っても、その実それはあなたの手柄じゃない。
 こう考え出すと、着ぐるみは面や肌タイであなた自身を全て覆い隠してしまうから始末が悪い。あなたがより善く着ぐるみを見せようにも、あなたの個性を出そうにも、着ぐるみは「中に人などいない」とばかりにあなた自身を隠すことが前提になってしまっているのだから。

 以下、着ぐるみを着て満足に思って、さて次に、
   ・より良く見られる着ぐるみにするには?
   ・「○○工房の面」じゃなくて、「□□さんの(キャラ)着ぐるみ」と呼ばれたいと思ったときには?
 と考え出したときにどうしたら? といった話しです。
 そのためにはまず立ち居振る舞いを良くすることです。立ち居振る舞いこそ買ってこれるモノではなくて、まして覆い隠しきれるモノでもない。あなた自身の働きにかかっているのです。「この着ぐるみは私なんです」と言える部分はそれしかない。そう考えて実行して努力したトコで、初めて「□□さんの(キャラ)着ぐるみ」になっていくと私は思うのです。
 私が改めて書くまでもないことかとは思います。でも、最近イベントなどで見ていて案外そうしたところに気が廻っていない方も多いようにも見受けられますので、思い立って書きまとめてみました。
 面や衣装を自作されている方達は自分たちの作ったモノ=自分自身ではあると思いますけど、それに立ち居振る舞いも自分らしさが出ればより良いかと思いますので参考にご一読下さい。


1.着ぐるみしたときの姿勢
 視界が悪くなるという要因が大きいと思いますが、自分では気付かず猫背になっている方が多いですね。特に目の位置が合っていない面を購入された方は注意が必要です。
 中には背丈を気にして低く見せようとしている人もいますけど、正面からはまだしも、横から見るとこの格好は非常に宜しくない。
 おそらくは私的に着ぐるみをされる方が着るキャラは若くて、多くの人が憧れる颯爽としたキャラのはずです。だから、まず意識して背筋を真っ直ぐ、正しい姿勢にすることを心がけましょう。
 あとは男性に多いです。がに股のまま歩き回る方。
 上記猫背と合わせると、着重ねているせいで端から見ていて「横綱土俵入り」姿です。
 面をかぶって顔を隠せば、即・キャラになったと思わないことです。
 周囲からはあなたが思っている以上に、あなたの姿勢が目に付くものです。自分の立ち姿を前後から写真に撮ってみてみれば、どこをどう矯正すればいいか、すぐ分かると思います。
 「こんな格好してても子供が寄ってくるよ」と笑っている方も見かけますが、そんなところに安住しないでください。

【私の失敗例】
 人様のことを言うからには私の事例も。
 私も素ではがに股なのですが、着ぐるみしているときはそう見えないよう出来るだけ足を揃えて、また立っているときは出来るだけ足を交差させるようにしています。
 それでも昔、階段を歩いているとき「TAKAさん、後ろから見てると階段降りるとき、がに股になってるよ」と言われちゃいました。
 がに股に見えないように階段を上り下りするのは非常に難しいです。

2.ポーズ姿
 普通に立っているときは「モデル立ち」が基本ですね。
 ネットで検索すれば出てくるかと思いますけど、手っ取り早く例を二点挙げておきましょう。
  
 左右の足を揃えて、足先を軽くハの字に開いて、片足のかかとをもう一方の足の中程に添えるというものです。
 添える片足のかかとを上げるとよりアクティブに見えます。
 これをやると、足がすらりと細く、長く見えます。モデルさんの立っている写真を見ればまずこの姿、もしくはこれをベースにした姿で立っています。
 ただ子供のキャラはそのままこうした立ち姿は大人過ぎで似合わなくなっちゃいますよね。そこは色々研究してみてください。
 モデル立ちは基本であって、綺麗に見せるポーズは幾らでもありますから。
 そしてこれをベースに各キャラ固有のしぐさ、動きを発展させていってください。

 【で、モデル立ちをしていないと・・・】
 

 なんとも、足元がしまりませんよネ・・・事例と言うことで恥を忍んでupしてますけど。
 撮影会で「さて、次はどんなポーズを取ろうか」と考えて、緩んでいるうちに撮られてしまった痛恨の一枚です(−−;)

 それから、撮影するとき真正面を向くのは不利です。
 二次元キャラは「その体のどこに内蔵が入っているの?」というくらい体が細いですから。真正面向いてると、とかく生身の人間の胴体すら太く見えてしまいます(まー、私は元から太いんですが(涙)。ついでに言っておきますと、遊園地イベントとか人前に出るときは標準体重程度にはなるよう頑張りましょう。痩せ過ぎも見てくれは悪くなりますけど、ほどほどが肝要です。美少女(もしくは美少年)着ぐるみをやるためにダイエット・節制を心がけるというのは、いい励みになると思いますよ(^^)
 
 上の写真に比べて、半身で正面を向くだけで随分また見た目の印象が変わってくるでしょ?
 
 最後、ミサトの立ちポーズ集を。
 ベースは「モデル立ち」ながら、色々な足裁きをしています。
 足の使い方だけでなく手の位置、所作も組み合わせるといろんな表現が出来てきます。皆さんも色々工夫してみてください。
   

   

   
 上段はモデル立ちをベースに右手を色々変えています。
 中段は片足の上げ。 後ろ下げ、前出し、ちょっと上げ+重心を右側面逸らしの複合。
 実は着ぐるみで片足立ちするのって、「素」の時と違ってすごく難しいんですよ。着ぐるみをお持ちの方、試してみてください。連続一分でも出来たら、なかなかのものですから。
 下段は片足の流し。 クロス、斜め前だし、横払い+片足ちょっと上げの複合。


3.動き、所作
 以下、特に遊園地などのコスプレイベントでの光景を念頭に置いて話しをします。
 キャライメージに沿った動きを心がけましょう。
 皆さんのやる着ぐるみは大抵若くはつらつしたキャラのはずです。
 着ぐるみしてる最中、ずーっとベンチに座り込んでひなたぼっこをしていました、なんてのはナシにしましょ!
 ヨボヨボ歩かず、颯爽と歩きましょ!
 のたーと動かず、キビキビ、シャキッと動きましょ!
 走り回ったり、激しく手足をふるうのは子供が周囲にいて危険ですから自粛するにしても、活発な動きのキャラなら、そう心がけて「キャラを再現させる」べきです。

 あと、女性キャラだからと言ってやたらクネクネと「しな」を作る男性内蔵もいますけど、よほどうまくやらないと悪い意味で「オカマ」な動きになってしまいます。
 女性は世の男共がイメージしてるほどクネクネしないものです。
 メタモルフォーゼ研究所では見事な異性装の方が大勢いて、私はその立ち居振る舞いは見ていて勉強させていただきました。(^^;)
 それとNHKの教育番組で子供向けに「体を動かそう」的な番組がありますよね? 子供キャラの動き、しぐさを研究するにはもってこいの教材です。
 街中で子供の動きをじっと見ていたりすると、職務質問されかねないご時世なのでお薦めかと思います(笑)

4.臭い
 稀に近寄るとかび臭い方もいるけど、これなどは論外。
 夏場の着ぐるみショーなどは洗濯する間も無く汗まみれの衣装を着続けることがあるからでしょうか。個人所有の着ぐるみでも「ちゃんと洗濯してるの?」と思わずにいられない方が稀にいます。ご用心を。
 あと自作の方は各種溶剤の残り香に注意しましょう。有害物質ですからね。扇風機に当てて臭いを飛ばすとかしないと。

 私は一工夫として、着ぐるみをしまうケースに一緒に石鹸を入れています。
 勿論、洗濯はしていますけどそれだけだと生地のにおいそのままですね。少し良い香りを付けようと石鹸の香りを衣装に移しています。香水とかは好き嫌いがありますけど、石鹸のにおいがイヤだという人はまずいないし、そんなに強いにおいでもありませんからね。
 子供が抱きついてきたとき「良いにおいするね」と言われたときはしてやったり。
 こういうときの子供の笑顔は何よりですから、大事にしましょう。